「宵の明星」「明けの明星」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。どちらも、金星のことを指します。金星は、太陽と月を除けば夜空でもっとも明るく見える天体で、望遠鏡はおろか双眼鏡すら使わなくても、簡単に見つけることができます。
金星は一年中見えるわけではありませんが、「宵の明星」または「明けの明星」の期間には、この探し方がいつでも使えます。

なぜ金星はあんなに明るいのか
金星が明るく見える理由は主に2つあります。1つは、地球に比較的近い惑星であること。もう1つは、金星を覆う分厚い雲が太陽の光をよく反射することです。金星の雲は太陽光の約75%を反射しており、月の地表(反射率約10%)よりもずっと明るく輝きます。
金星の見かけの明るさは、条件がよいときマイナス4等台に達します。これは全天でもっとも明るい恒星シリウス(マイナス1.5等)よりもさらに明るい数値です。空が暗くなりきる前の薄明るい時間帯でも、金星だけは肉眼でしっかり確認できます。

金星は「太陽のそば」にしかいない
金星は地球より内側の軌道を回っているため、真夜中の空に見えることはありません。見えるのは、日没後の西の空か、日の出前の東の空のどちらかに限られます。
- 日没後に西の空で輝いているとき:宵の明星
- 日の出前に東の空で輝いているとき:明けの明星
金星は約584日の周期で、宵の明星と明けの明星を交互に繰り返します。1回の見ごろは数か月間続くため、水星のように短期間だけ探すのではなく、数か月にわたってじっくり観察を楽しめるのが金星の特徴です。

金星の見つけ方|3ステップ
ステップ1:今、宵の明星か明けの明星かを確認する
星座アプリ(「星座表」「Star Walk」など)で「金星(Venus)」を検索すると、現在西の空にいるのか、東の空にいるのかがすぐにわかります。国立天文台の「今日のほしぞら」でも確認できます。
ステップ2:時間帯を絞り込む
宵の明星なら日没後30分〜1時間、明けの明星なら日の出前30分〜1時間が観察しやすい時間帯です。金星は非常に明るいため、空がまだ薄明るいうちから見え始めます。
ステップ3:西または東の低い空を探す
宵の明星は西の空、明けの明星は東の空の、地平線からやや高い位置に見えます。他のどの星よりも圧倒的に明るいひとつの光が金星です。飛行機の灯火と迷うことがありますが、金星は恒星ほど激しく瞬かず、位置がほとんど動かない点で見分けられます。

観察の注意点
- 方角を間違えない:宵の明星と明けの明星では見る方角が真逆です。事前にアプリで確認しておきましょう。
- 地平線が開けた場所を選ぶ:金星は高度が低い時間帯から見え始めるため、西や東の視界を遮る建物や山がない場所が理想です。
- 日中に望遠鏡や双眼鏡を使うときは太陽の位置に注意する:金星は日中でも肉眼で見えることがありますが、太陽に近い方角を双眼鏡や望遠鏡で探す場合は、誤って太陽を直接見てしまわないよう、太陽の位置を必ず把握してから使用してください。
次の楽しみ方
肉眼で金星を見つけられたら、次は双眼鏡や小型望遠鏡を使ってみましょう。金星は月のように満ち欠けをしており、時期によって満月のような丸い形から、三日月のような細い形まで変化して見えます。ぜひ形も楽しんでみてください。

参考文献