アンタレスとは?|さそり座の心臓が「赤色超巨星」である理由と、夏空のベテルギウス

夏の夜、南の低い空で赤く輝く一等星があります。さそり座のアンタレス、さそりの心臓に位置する星です。その赤さは、ときに空をさまよう火星と見分けがつかないほどで、名前そのものが「火星に対抗する星」を意味しています。

この赤い色は、アンタレスが冬のベテルギウスと同じ「赤色超巨星」であることのしるしです。夏と冬、それぞれの夜空に、よく似た運命をたどる巨大な赤い星が待ち構えているのです。

さそり座
Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, VISTA

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アンタレスとは?|さそりの心臓に輝く赤い巨星

アンタレスは、さそり座のα星です。見かけの等級はおおむね1.0等前後ですが、時期によって変動します。地球からの距離はおよそ550光年と見積もられていますが、非常に大きな星のため、距離には不確かさが残ります。

この星の直径は、太陽のおよそ700倍にもなります。もし太陽の位置に置けば、火星の軌道あたりまで飲み込んでしまう巨大さです。表面温度は約3500度と低く、それがアンタレスの深い赤色の理由です。

名前の由来はギリシャ語で「火星(アレス)に対抗するもの」。赤い惑星である火星がさそり座の近くを通るとき、両者の赤さがよく似ているため、古代の人々はこの星を火星のライバルと見なしました。その赤さには、星の一生に関わる意味が込められています。


アンタレスが赤い理由|赤色超巨星とは

星の色は、表面温度を映す温度計です。青白い星は高温、赤い星は低温を示します。アンタレスの深い赤は、表面温度が約3500K(約3200℃)と、恒星としてはかなり低いことを意味します。

ただし、この「低温」は星が弱っているという意味ではありません。むしろ逆です。アンタレスは、中心部の水素を使い果たし、外層が極端に膨張した「赤色超巨星」です。星が大きく膨らむと、放射する表面積が大きくなるため、表面温度は下がります。アンタレスの赤さは、「大きく膨らんだ結果、表面が冷えている」ことのしるしなのです。

赤色超巨星は、太陽の何倍もの質量を持つ大質量星が、一生の終盤にたどり着く姿です。アンタレスもまた、この段階にある星です。


夏空のベテルギウス|冬の巨星との対比

アンタレスの姿は、冬の夜空で赤く輝くオリオン座のベテルギウスとよく似ています。どちらも直径が太陽の数百倍にふくらんだ赤色超巨星で、表面温度が低く赤い。そして、どちらも一生の最終段階にあり、いずれ超新星爆発を迎えると考えられています。

違いは、見える季節です。ベテルギウスは冬の代表的な赤い巨星、アンタレスは夏の代表的な赤い巨星。地球が太陽のまわりを一周する間に、私たちは夜空の反対側にある2つの巨大な赤い星を、半年ずつ交代で見上げていることになります。

星の一生という長い時間のなかでは、赤色超巨星でいられる期間はごくわずかです。その希少な瞬間にある2つの星を、季節をまたいで見比べられるのは、いまこの時代の夜空ならではの巡り合わせです。


今夜、さそりの心臓を見上げる

夏(6月から8月ごろ)の宵、南の低い空に、S字にカーブする星の並び——さそり座を探してみてください。その中心で、ひときわ赤く強く輝く星がアンタレスです。まわりに明るい星が少ないぶん、その赤色はいっそう目立ちます。

その赤い光は、火星の軌道ほどにも膨れ上がった巨星の、冷えた表面から届いています。冬のベテルギウスと同じく、いつか超新星爆発を迎える運命にある星です。半年後、冬の空でベテルギウスを見上げるとき、夏に見たさそりの心臓を思い出せば、夜空の反対側で待つもう一つの赤い巨星とつながるはずです。


まとめ

アンタレスはさそり座の心臓に輝く赤い一等星で、直径は太陽の約700倍、表面温度は約3500度の赤色超巨星です。深い赤色は、大きく膨張して表面が冷えた結果であり、大質量星が最期に近づいたサインです。

その姿は冬のベテルギウスとよく似ており、どちらもいずれ超新星爆発を迎えます。私たちは夏と冬で、夜空の反対側にある2つの赤色超巨星を交代で見上げているのです。

今夜さそりの心臓を見つけたら、その赤さが「星の最終段階」を映していること、そして冬にはもう一つの赤い巨星が待っていることを思い出してみてください。


参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空喫茶」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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