夜空の惑星を見つけたとき、その光の正体を考えたことはありますか。明け方か夕方の空で際立って明るく輝く金星、赤みがかった光の火星、太陽のそばにときどき姿を見せる水星。この3つは、私たちの地球と同じ仲間です。
4つのうち3つは夜空に見えて、残りの1つは、いま私たちが立っている地球そのものです。同じ仲間なのに、焼けつく星、凍えた砂漠の星、海のある星と、姿はまったく違います。何がこの違いを生んだのでしょうか。その違いを大きく左右したのが、太陽からの距離と惑星自身の大きさです。

地球型惑星とは?|岩と金属でできた星

地球型惑星とは、岩石と金属でできていて、硬い地面を持つ惑星のことです。太陽に近い側から、水星・金星・地球・火星の4つがこれにあたります。
宇宙船で降り立てば、4つのどの星にも足をつける地面があります。当たり前に思えるかもしれませんが、太陽系ではむしろ少数派です。外側を回る木星や土星は、水素とヘリウムを主成分とする巨大なガスの星で、私たちが立てるような地面がありません。太陽系の8つの惑星のうち、地面を持つのは内側の4つだけなのです。

地球型惑星とガス惑星の違い|なぜ内側の4つは岩の星なのか
では、なぜ太陽に近い4つだけが岩の星になったのでしょうか。理由は、惑星が生まれたときの材料にあります。
太陽系が生まれたころ、できたての太陽のまわりには、ガスとチリが円盤のように広がっていました。惑星は、この円盤の中の材料が集まってできたものです。
太陽に近いところは熱く、水は氷の粒として固まることができません。そこに残った材料は、熱に強い岩と金属のチリだけでした。ところが岩と金属は、円盤全体から見ればごく一部にすぎません。材料が少ないので星は大きく育たず、まわりのガスを引き寄せるほどの重力も持てなかったと考えられています。
太陽から離れると、温度が下がって氷の粒も材料に加わります。岩石や金属だけだった内側より、惑星を育てる材料が多くなるため、より大きな惑星の核ができやすくなります。十分に大きく成長した核は、その重力で若い太陽のまわりに残っていたガスを大量に引き寄せることができました。これが、木星や土星のような巨大惑星につながったと考えられています。
この、惑星が生まれる場所で水などの物質が氷になれる境目を、雪線と呼びます。雪線より内側では岩石や金属が主な固体材料となり、外側ではそれに氷が加わります。
つまり、太陽に近い場所では岩石惑星が、遠い場所では氷を材料に大きく成長した巨大惑星が生まれやすかったのです。ただし、惑星の最終的な姿は、生まれた場所だけでなく、成長する速さや周囲のガスの量など、さまざまな条件にも左右されます。

4つに共通する3層の内部構造
地球型惑星の内部は、基本的に中心から「核」「マントル」「地殻」という3つの層に分かれています。地球と火星は地震の波で内部が確かめられていて、水星と金星も、星全体の密度などから同じつくりだと考えられています。
- 核(コア): 主に鉄とニッケルでできた中心部。地球の核は、外側が液体、内側が固体です。
- マントル: 核を包む岩石の層。高温で、長い時間をかけてゆっくりと流れ動いています。
- 地殻: いちばん外側の、薄くて硬い岩石の層。私たちが踏みしめている地面です。
この層は、生まれたばかりの惑星が高温になり、内部で物質が溶けたり動いたりできる状態になった時期につくられました。重い鉄は重力に引かれて中心へ沈み、軽い岩石は表面へ浮いてきます。砂と油を入れた水をしばらく置いておくと、砂は底へ、油は上へと分かれていくのと同じです。このように、重さの違いで星の中身が層に分かれることを惑星分化と呼びます。

4つの姿を分けた2つの条件|太陽からの距離と星の大きさ
材料も、内部のつくりも同じ。それなのに、今の4つの星はまるで違う姿をしています。
| 惑星 | 太陽からの距離(地球=1) | 半径(地球=1) | 表面のようす |
|---|---|---|---|
| 水星 | 約0.39 | 約0.38 | 大気がほとんどなく、昼は430℃、夜はマイナス180℃ |
| 金星 | 約0.72 | 約0.95 | 約90気圧の二酸化炭素に覆われ、約460℃ |
| 地球 | 1 | 1 | 1気圧の大気と液体の海。平均約15℃ |
| 火星 | 約1.52 | 約0.53 | 大気は地球の約160分の1。平均マイナス60℃ |
この違いは、表の左側にある2つの条件でおおまかに説明できます。
太陽からの距離が決めるのは、星が受け取る太陽の光の強さです。光は距離が2倍になると4分の1に弱まるので、地球と比べると、水星は約7倍、金星は約2倍の光を浴びています。火星が受け取る光は、地球の約4割しかありません。
星の大きさが決めるのは、2つのことです。ひとつは重力で、大きな星ほど大気を宇宙へ逃がさずにつなぎとめておけます。もうひとつは内部の熱の持ちで、大きな星ほど冷めにくく、中心の熱が長く残ります。小さなカップのお茶ほど早く冷めるのと同じです。
この2つの組み合わせで、4つの星を見ていきましょう。
水星|近くて、小さい
水星は太陽にいちばん近く、4つのなかでいちばん小さな星です。重力は地球の4割弱しかなく、太陽から吹きつける粒子の流れにも絶えずさらされているため、大気をほとんど保てません。熱を閉じ込める大気がないうえに、水星の夜は地球の日数で約88日も続きます。そのため昼は430℃を超え、夜はマイナス180℃まで冷え込みます。

金星|近いけれど、大きい
金星の大きさは地球とほぼ同じで、大気をつなぎとめる重力も十分にあります。大きく違ったのは、太陽からの距離です。
金星は地球より強い太陽光を受けるため、過去に存在した水が失われやすい環境だったと考えられています。もし初期の金星に海があったとしても、温暖化が進むにつれて水が水蒸気として大気中に増え、紫外線によって水が分解され、水素が宇宙へ逃げた可能性があります。
水が失われると、地球のように海や岩石を通じて二酸化炭素を長期的に固定する仕組みが働きにくくなります。その結果、二酸化炭素が大気中に多く残り、強い温室効果によって現在の約460℃という高温につながった、というシナリオが考えられています。
ただし、金星に過去どれほどの水が存在したのか、海があったのかについては、まだ研究が続いています。

地球|ほどよい距離で、大きい
地球は4つのなかでいちばん大きな星です。水が液体でいられる距離にあり、大気をつなぎとめる重力と、今も冷めきらない内部の熱を持っています。海が二酸化炭素を岩へ戻し、火山がそれをふたたび空へ返します。このめぐりが、地球の気温を長いあいだ穏やかに保ってきました。
火星|遠くて、小さい
火星の半径は地球の約半分、重さは約10分の1しかありません。小さな惑星は、内部の熱を比較的早く失います。
火星では、かつて液体の金属の動きによって生まれていた全球的な磁場が、遠い過去に失われました。ただし、磁場が消えたからといって、核そのものが完全に固まったわけではありません。NASAのInSightによる火星の揺れ観測から、火星の核は、少なくとも外側の部分が今も液体であることがわかっています。
現在の火星には地球のような全球的な磁場がないため、太陽風や太陽からの紫外線による大気の流出が進みやすくなりました。NASAのMAVENは、実際に火星の上層大気からイオンが宇宙へ逃げていく過程を観測しています。
こうして長い時間をかけて大気の多くを失った火星は、現在では地球の約160分の1ほどの薄い大気しか持たず、平均気温も約マイナス60℃です。表面には、過去に水が流れたことを示す地形が残っています。

まとめると、距離は星の表面をどれだけ温めるかを決め、大きさは大気と内部の熱をどれだけ長く持ち続けられるかを決めました。細かな違いにはほかの要因も関わっていますが、4つの星の現在の姿を理解するうえで、特に重要なのがこの2つの条件です。
今夜、夜空を見上げて
水星・金星・火星は、どれも見える時期と方角が季節によって変わります。探し方は、太陽のそばに短いあいだだけ現れる水星、明け方か夕方に輝く金星、赤みがかった光の火星のそれぞれの記事で紹介しています。
見つけたら、思い出してみてください。あの光の先には、私たちの足元と同じ岩の地面が広がっています。同じ材料から、同じつくりで生まれた星が、太陽からの距離と自分の大きさによって、別々の姿になりました。
そして4つ目の地球型惑星は、今夜あなたが空を見上げている、その足元の地面です。


参考文献
- NASA|Terrestrial
- NASA|Planetary Fact Sheet
- NASA|Mercury Overview
- NASA|Venus Overview
- NASA|Earth
- NASA|Mars Overview
- NASA|NASA InSight Study Provides Clearest Look Ever at Martian Core
- NASA|NASA’s MAVEN Reveals Most of Mars’ Atmosphere Was Lost to Space