2026年10月の星空|土星の衝と、最大離角の水星が見えない理由

10月の夜空は、主役が入れ替わる月です。

先月19日に最大光度を迎えたばかりの金星は、24日に内合を迎えて太陽の手前へ回り込みます。夕方の西の空から、宵の明星が消えていく月ということになります。入れ替わるように、4日には土星が衝を迎えます。日の入りのころに東から昇り、真夜中に南の空へ、日の出のころに西へ沈む。ほぼ一晩中、空のどこかに土星がいる時期です。

そしてもうひとつ。12日に、水星が東方最大離角を迎えます。地球から見て、太陽から最も離れる日です。ところが国立天文台は、この時期の水星に「観察は難しいでしょう」と書いています。最も離れているのに、見えません。

3つはばらばらの出来事に見えます。けれど理由まで降りていくと、たった2枚の図に行き着きます。太陽系を上から見た並び順と、地平線に対する黄道の角度。今月の空は、ほとんどこれだけで説明がついてしまうのです。

2026年10月の星空
Image Credit: NAOJ
目次

2026年10月の星空カレンダー

今月のスケジュールを一覧にします。

  • 10月2日: 金星が留(順行から逆行へ)
  • 10月3日: 下弦
  • 10月4日: 土星が衝(ほぼ一晩中観察できる見ごろ)
  • 10月5日〜7日の未明: 月が火星、木星に接近
  • 10月8日: 寒露
  • 10月11日: 新月
  • 10月12日: 水星が東方最大離角
  • 10月19日: 上弦
  • 10月20日: 土用の入り
  • 10月22日: オリオン座流星群が極大
  • 10月23日: 霜降
  • 10月24日: 金星が内合 / 水星が留 / 月が土星に接近(19時ごろ)
  • 10月26日: 満月

見どころは、月の前半と後半で時間帯が分かれます。前半は日の入り直後から真夜中にかけての土星。後半は未明の流星群と、東から昇ってくる火星・木星です。宵に出る人にも、夜明け前に起きる人にも、それぞれの空があります。

土星の衝|10月4日、日の入りに昇って日の出に沈む

10月4日、土星が衝を迎えます。今年いちばんの見ごろです。

見える時間と方角

  • 時間: 日の入りのころ東の空に昇り、真夜中ごろに南中
  • 方角: くじら座の領域(南の空)
  • 明るさ: 0.3等から0.5等

0.3等というのは、シリウスやベガのような目を引く明るさではありません。ただ、この時期の南の空は明るい星が少ないのです。1等星はフォーマルハウトがぽつんとひとつあるだけです。そこへ、ほとんど瞬かない落ち着いた黄色い光がひとつ加わっていれば、それが土星です。

星は大気のゆらぎで細かくまたたきますが、惑星は面積を持って見えるぶん、ゆらぎが平均されてまたたきにくくなります。「またたかないほう」を探すのが、いちばん確実な見分け方でしょう。

なぜ一晩中見えるのか

衝とは、地球から見て、その天体が太陽とちょうど正反対の方向に来ることです。

正反対にあるということは、太陽と入れ替わりで空にいるということでもあります。太陽が西に沈むとき、土星は東から昇ります。太陽が地面の裏側の真下にいる真夜中、土星は南の空のいちばん高いところにいます。そして太陽が東から昇るころ、土星は西へ沈みます。

一晩中見えるのは、土星が明るくなったからではありません。太陽の反対側という「席」に座っているからです。

しかも衝の前後は、地球と土星が近づき、土星が大きく明るく見える時期にあたります。近ければ見かけの大きさも増し、届く光も強くなります。観察条件が最良になる日というのは、この2つが重なった日のことです。

なぜ逆行するのか

今月の土星は、くじら座の領域を西へ動いています。これを逆行と呼びます。

惑星はふだん、星座のあいだを東へ進んでいきます(順行)。逆行は、その向きが逆に見える期間のことです。土星が急ブレーキをかけて後戻りしているわけではありません。

理由は、地球のほうが速いからです。地球は1年で太陽を1周し、土星は約29.5年かけて1周します。衝の前後というのは、内側を速く回る地球が、外側をゆっくり回る土星を追い越している最中なのです。

高速道路で隣の車を追い越すとき、追い越される車は一瞬、後ろへ下がっていくように見えます。あれと同じことが起きています。動いているのは自分のほうで、下がって見えるのは相手のほう。

だから外惑星の逆行は、必ず衝をはさんで起こります。逆行のちょうど真ん中が衝だと考えると、位置関係が整理しやすくなります。

環は、去年より少し開いている

2025年前後、地球から見た土星の環は、ほぼ真横を向きました。環の消失と呼ばれる現象です。

環は数万キロメートルもの広がりを持つ一方、その厚さは非常に薄く、数十メートルほどしかないと考えられています。だから真横から見ると、消えたように見えなくなります。2026年は、そこから土星の傾きがやや増して、環が少しだけ開いて見えるようになった年です。細く、シャープな環が見られます。

この環は、双眼鏡では環として見えません。土星が丸くない、という程度の違和感が捉えられるかどうかです。環を環として見分けるには、数十倍以上の天体望遠鏡が必要になります。近くの公開天文台に足を運ぶのが、いちばん確実で、いちばん安上がりな方法でしょう。

10月24日、月が土星に接近

24日の宵、南東の空で、月の下側に土星が並びます。最も近づいて見えるのは19時ごろ(東京の場合)です。

ただし、どれくらい接近するかについても明記しておきます。このときの離角は約5.5度。満月の見かけの直径のおよそ10倍です。腕をいっぱいに伸ばしたときの、こぶし半分ほど。「接近」という言葉から想像するほど、くっついては見えません。双眼鏡の視野が5度から7度ほどですから、2つを同じ円のなかに収められるかどうか、ぎりぎりの間隔です。

水星の東方最大離角|10月12日、最も離れていても高くならない

10月12日、水星が東方最大離角を迎えます。日の入り直後の西から南西の低空にいるはずです。

「最も離れる日」なのに観察が難しい

水星は地球より内側を回っているので、いつも太陽の近くにいます。空が暗くなるころには、たいてい太陽と一緒に沈んでしまっているのです。太陽から離れて見えるのは最大離角の前後だけで、ふつうはそこが年に数回しかない観察のチャンスになります。

ところが国立天文台は、今回の水星について「見かけの位置が太陽に近く、観察は難しいでしょう」と書いています。最大離角の日に、そう書かれるのです。

角度と高度は、別の量です

最大離角が測っているのは、地球から見た太陽と水星の「角度」です。天球の上でどれだけ離れているか、という量であって、地平線からどれだけ高いか、という量ではありません。

では、角度を高さに変えているのは何でしょうか。黄道が、地平線に対してどれだけ立ち上がっているかです。

水星は黄道の近くに見えます。太陽も黄道上を動いて見えるため、水星と太陽の離れ方は、地平線に対する黄道の傾きの影響を強く受けます。黄道が地平線から急な角度で立ち上がっていれば、太陽からの離角が水星の高度として現れやすくなります。逆に黄道が地平線に寝ていれば、離角の多くが横方向に現れ、高度が上がりにくくなります。

壁に立てかけたはしごを思い浮かべてください。はしごの長さが離角です。同じ長さでも、急な角度で立てれば先端は高いところに届き、寝かせれば先端は低いままです。水星の見つけやすさを決めているのは、はしごの長さではなく、立てかけた角度のほうなのです。

秋の夕方、黄道は寝ている

この角度は、季節と時刻で変わります。

日の入りの西の空では、黄道は春にいちばん立ち、秋にいちばん寝ます。日の出の東の空では、それが逆になり、秋にいちばん立ちます。

10月の夕方、西の空では黄道が地平線に対して低い角度になります。水星は太陽から最大限に離れているのに、その離れ方が地平線と平行に近いため、薄明の残る低空から抜け出せません。条件の悪い組み合わせが、そろってしまったわけです。

8月2日、水星は西方最大離角を迎え、日の出前の東の低空で見つけられる時期でした。同じ水星、同じ最大離角。違っていたのは、季節と、東西どちらの空かだけです。あのとき黄道は立っていて、今回は寝ています。

なお、離角の大きさそのものも毎回同じではありません。水星の軌道はかなりつぶれた楕円なので、最大離角の角度は回によって変わります。ただし今回効いているのは、そこではないのです。

そして来月には、条件がひっくり返ります。11月21日、水星は西方最大離角を迎えます。今度は日の出前の東の空、黄道が立つ側です。今月は探しても見つからない星が、翌月には見つかるようになります。変わったのは水星ではなく、私たちが立っている場所の傾きのほうです。

金星の内合|10月24日、宵の明星が明けの明星になる

先月19日、金星はマイナス4.8等の最大光度でした。夕方の西の空で、いちばん先に光り出す星だったはずです。それが1か月あまりで見えなくなります。

いちばん近いのに、見えない

内合とは、内惑星が地球と太陽のあいだに入る配置のことです。

内合のころ、金星は地球に近い位置にあります。にもかかわらず、見ることはできません。太陽と同じ方向にあるからです。そのうえ、太陽に照らされている面は向こう側を向いていて、こちらを向いているのは影の側になります。

近くて、大きくて、暗い。先月の記事で書いた「近づくほど大きく見え、大きくなるほど細くなる」という関係の、終点がここです。最大光度は、その手前にある折り返し点でした。

金星も逆行する。ただし向きが逆

金星は10月2日に留を迎え、順行から逆行に切り替わりました。

土星と同じ「逆行」という言葉ですが、原因の向きが逆になっています。

土星が逆行するのは、内側の地球が外側の土星を追い越すからでした。金星が逆行するのは、内側の金星が地球を追い越すからです。金星の公転周期は約225日、地球は365日。内側を回るほうが速いので、内合の前後、金星はこちらを追い抜いていきます。追い抜かれる側から見れば、相手は後ろへ下がっていくように見える。土星のときと、立場が入れ替わっているだけです。

つまり今月は、追い越す側の逆行と、追い越される側の逆行が、同じ空で同時に起きています。24日には水星も留を迎えますが(内合は11月4日)、こちらも金星と同じ理屈です。

逆行しているかどうかは、その惑星の性質ではありません。地球とその惑星の、どちらが内側にいるか。決めているのは、それだけです。

11月末、東の空に戻ってくる

内合を過ぎた金星は、太陽の西側へ抜けて、日の出前の東の低空に移ります。明けの明星です。

11月30日には、ふたたび最大光度(マイナス4.9等)を迎えます。9月に夕方の西の空で見上げたのと同じ星を、12月には明け方の東の空で見上げることになります。位置を変えたのは金星だけではありません。金星と地球と太陽の、並び順のほうです。

オリオン座流星群|10月22日、母天体はハレー彗星

見える数と時間

  • 極大: 10月22日(未明3時ごろと予想されています)
  • 数: 1時間に5個から10個程度
  • 見ごろ: 極大をはさんだ前後数日間

数字を見てのとおり、派手な流星群ではありません。8月のペルセウス座流星群が1時間に35個程度でしたから、その3分の1以下です。数を期待して2時間粘る種類の夜ではありません。

未明が、三重に有利

それでも今年は、時間帯さえ合わせれば見やすい年です。理由が3つ重なっています。

19日が上弦、26日が満月ですから、22日の月は半月を過ぎてふくらみかけた状態です。この月は、夜半を過ぎたころに沈みます。つまり月明かりが消えるのが未明。

放射点がじゅうぶんに高くなるのも未明です。オリオン座は10月の宵にはまだ地平線の下にいて、深夜から明け方にかけて南の空へ昇っていきます。放射点が低いうちは、流星の多くが地平線の下で流れてしまいます。

そして極大の予想時刻そのものが、22日の未明3時ごろです。

月・放射点・極大。3つが同じ時間帯に重なります。狙うなら22日の未明、月が沈んでから空が白み始めるまでの数時間です。方角を選ぶ必要はありません。放射点はオリオン座の北寄りにありますが、流星はそこを中心に空全体へ放射状に飛び出します。寝転がって視界を広く保つほうが有利です。

数は少なくても、一つひとつが速い

オリオン座流星群の母天体は、ハレー彗星(1P/Halley)です。

ハレー彗星は約76年かけて太陽を1周します。前回近づいたのが1986年、次は2061年です。その軌道に残された塵の帯を、地球は1年に2回、別々の場所で横切ります。5月のみずがめ座η(エータ)流星群と、10月のオリオン座流星群。同じ川を、行きと帰りで渡っているようなものです。ひとつの彗星が、季節の違う2つの流星群の親になっています。

もうひとつ、この流星群には特徴があります。ハレー彗星は、惑星とは逆向きに太陽を回っているのです。だから塵の粒と地球は、追突ではなく正面衝突に近い形でぶつかります。この流星群の対地速度は、秒速およそ66キロメートル。ペルセウス座流星群より速い部類に入ります。

速い流星は、短い時間に鋭く走り抜けます。ゆっくり尾を引く流星を待つ感覚では、見逃してしまうかもしれません。数が少ないぶん、一瞬に集中しておくのがコツでしょう。

冬の星座が、戻ってくる合図でもあります

放射点はオリオン座の北東側、ふたご座との境界付近です。

流星を待ちながら未明の南の空を見れば、そこにはもうオリオン座が昇っています。ベテルギウスの赤と、リゲルの青白。三つ星。10月の未明は、冬の星座が地平線の下から順番に戻ってくる時間帯でもあります。

未明の東|火星と木星、10月5日から7日の月

流星群を待つ未明の空には、惑星も2つ昇っています。

  • 火星: 1.1等から0.9等。かに座からしし座の領域を順行。真夜中ごろに東の空から昇ります
  • 木星: マイナス1.9等からマイナス2.0等。しし座の領域を順行。日の出前の東から南東の空に見えます

明るさが10倍以上違うので、見分けは簡単です。東の低空でひときわ明るく白く輝くのが木星。その西寄りの高い位置にある、赤みを帯びた光が火星です。火星のほうが先に昇ってくるぶん、夜明け前には高い位置にいます。

上旬には、この2つのあいだを月が渡っていきます。3日に下弦を過ぎたあとの、半月より細くなった月です。

  • 5日の未明(4日の深夜過ぎ): 火星の少し上に月。近くにはふたご座のポルックス(1等星)とカストル(2等星)
  • 6日の未明(5日の深夜過ぎ): 月が火星と木星のちょうどあいだに入ります
  • 7日の未明(6日の深夜過ぎ): 月は木星よりやや低い位置へ移り、しし座のレグルス(1等星)に近づきます

同じ時刻に3日続けて空を見ると、月が2日ほどで火星から木星へ渡っていくのがわかります。月は星座のあいだを1日およそ13度動きます。動く天体を、動かない星座の目盛りで測るのが、いちばん道具の要らない観測です。

10月の観測に用意しておきたいもの

10月の観察は、待つ時間が長く、そして冷えます。

土星は日の入りから見え始めますが、流星群も火星も木星も未明です。夜半から夜明けまで外にとどまる夜が、この月には何度かあります。しかも空気が乾いて晴れる日が増えるぶん、地面から熱が逃げていく放射冷却も強くなります。よく晴れた夜ほど冷えるというのは、星を見る側にとっては皮肉な話です。

10月の夜は、夏と違い防寒着が重要です。

防寒具

10月下旬の未明は、日中より大幅に気温が下がることがあります。

体感を決めるのは平均気温ではなく、その夜のいちばん低い時刻の気温です。そしてそれは、たいてい夜明け前、ちょうど流星群の見ごろと重なる時間帯に来ます。上着を一枚多く持っていくだけで、粘れる時間が変わります。首と手首と足首を覆うと、体感がはっきり変わるはずです。

リクライニングできるアウトドアチェア、または折りたためる断熱シート

流星を待つ夜は、寝転がるか、背もたれを倒して座るのがいちばん有利です。

視界を広く保てるうえに、首の負担がありません。そして10月は、その姿勢のまま地面と接している時間が長くなります。夏は熱を持っていた地面も、秋の夜には体より冷たくなります。地面に直接触れていると、体から熱が奪われやすくなります。

使っているもの

私が使っているのは、畳めば小さくなる断熱シートです。アルミの面で地面と体のあいだを断つつくりで、夏はコンクリートに残った熱が伝わりにくいのが助かりました。オールシーズン向けなので、冷えていく地面にも同じ一枚を出せます。

双眼鏡

流星だけを狙うなら、双眼鏡は要りません。

いつどこに流れるかわからない光に対しては、視野の広い肉眼のほうが強いからです。ただし今月は、双眼鏡が効く対象が別にあります。24日、月と土星が約5.5度まで近づく夜です。5度から7度という双眼鏡の視野は、この2つをぎりぎり同じ円のなかに収められる広さにあたります。離れたものを引き寄せるというより、どれくらい離れているかを1枚の絵で確かめる使い方になります。

一方で、先に書いたとおり、土星の環は双眼鏡では見えません。ここは期待しないでください。

安全のために

12日前後に水星を探す場合は、太陽が地平線の下に沈んだことを必ず確かめてから双眼鏡を向けてください。水星は日の入り直後の低空にいるため、探し始める時刻がどうしても太陽に近くなります。誤って太陽を視野に入れると、重い眼の損傷につながります。

赤色ライト

白いライトを一度使うと、せっかく暗さに慣らした目がそこで元に戻ってしまいます。

足元や星図を確かめるたびに、それが起きます。赤い光は暗順応を壊しにくい性質があり、観察を中断せずに手元だけを照らせます。しくみは赤い光が暗順応を壊しにくい理由で解説しています。

使っているもの 

私が選んだのは、赤色でしか点灯しないタイプでした。白色との切り替えがないぶん、暗闇で手探りにスイッチを押しても白い光が飛び出しません。流星を待ちながら何度も手元を照らす夜ほど、この一点が効いてきます。

モバイルバッテリー

寒いところでは、スマートフォンの電池は表示より速く減ります。

リチウムイオン電池は低温で内部抵抗が上がり、取り出せる電力が落ちるためです。星図アプリを開いたまま未明まで粘るなら、残量に余裕を持たせておくほうが安心でしょう。夜間の屋外で、連絡手段を残しておく意味もあります。

使っているもの

私が持ち出しているのは、容量20000mAhでUSB-Cポートが2つあるタイプです。容量に余裕があると、星図アプリを開いたままにしても残量を気にせず空を見ていられます。ポートが2つあるのも、一緒に見に行った人の端末やカメラを同時につなげるので、夜が長いほど効いてきます。

虫除けは外しました。10月に入ると蚊はほとんど寄ってきません。そのかわりに防寒具が入った、という入れ替えです。季節が進むというのは、持ち物リストが1行ずつ書き換わっていくことでもあります。

見える・見えないを決めているのは、並び順です

今月の3つの出来事は、結局のところ同じことを言っています。

土星が一晩中見えるのは、土星が明るくなったからではありません。地球が、太陽と土星のあいだに入ったからです。

金星が見えなくなるのは、金星が暗くなったからではありません。金星が、地球と太陽のあいだに入るからです。

水星が見つからないのは、太陽から離れていないからではありません。離れている方向が、地平線とほとんど平行だからです。

見える・見えないを決めているのは、その天体そのものの性質ではなく、太陽と地球とその天体が、いまどう並んでいるかです。夜空は、天体の一覧表ではありません。私たちが乗っている惑星から見た、太陽系の断面図なのです。

日が暮れたら、東の空を見てください。秋の南天には明るい星が少ないので、そこにひとつだけ落ち着いた黄色い光があれば、それが土星です。またたかない、静かな光。その内側を、私たちは秒速20キロメートルほどの差をつけて、いま追い越している最中です。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空研究室」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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