フォーマルハウトとは?|秋の一つ星を取り巻く「デブリ円盤」と、惑星が生まれる現場

秋の夜、南の低い空にぽつんと明るい星が輝いています。まわりに明るい星が少ないため、この星は「秋の一つ星」と呼ばれます。みなみのうお座のフォーマルハウトです。

さびしげに見えるこの一つ星ですが、その周囲はにぎやかです。フォーマルハウトは、塵と小さな天体が集まった巨大な円盤、デブリ円盤に取り巻かれています。それは、惑星が生まれつつある現場、あるいは生まれた直後の名残を、私たちに見せてくれる貴重な星なのです。

フォーマルハウトの解説図(等級、温度)

目次

フォーマルハウトとは?|秋の南天に輝く若い白い星

フォーマルハウトは、みなみのうお座のα星です。見かけの等級は約1.16等で、全天では18番目に明るい恒星です。地球からの距離はおよそ25光年と、一等星のなかでは近い星のひとつです。表面温度は約8600度で、白く輝きます。

この星の大きな特徴は、その「若さ」です。年齢はおよそ4〜5億歳と見積もられています。46億歳の太陽と比べれば、フォーマルハウトはまだ生まれて間もない若い星です。この若さこそが、フォーマルハウトを惑星形成の観察に最適な星にしています。


デブリ円盤とは|惑星のかけらが集まる環

フォーマルハウトのまわりには、大きな塵の環が広がっています。これを「デブリ円盤」と呼びます。デブリとは「破片」のこと。デブリ円盤とは、惑星になりきれなかった小さな天体や、それらが衝突して砕けた塵が、恒星のまわりをドーナツ状に取り巻いている構造です。

若い星のまわりには、もともと惑星の材料となるガスと塵の円盤があります。その材料が集まって惑星ができると、あとには集まりきれなかった破片や塵が残ります。フォーマルハウトのデブリ円盤は、まさにこの「惑星づくりの残りもの」です。ハッブル宇宙望遠鏡は、この円盤をくっきりとした環として撮影することに成功しました。

近年の観測では、この円盤が一枚のリングではなく、複数の環に分かれた入り組んだ構造をしていることもわかってきました。これは、私たちの太陽系に小惑星帯カイパーベルトといった帯があるのと似ています。フォーマルハウトの円盤は、太陽系の若いころの姿を映す鏡でもあるのです。


惑星は、衝突から生まれる|円盤が語る形成のドラマ

デブリ円盤は、ただ静かに漂っているのではありません。その内側では、小さな天体どうしがぶつかり合い、砕けたり、くっついて大きくなったりを繰り返しています。惑星は、こうした無数の衝突と合体の果てに生まれます。

フォーマルハウトでは、かつて「惑星を直接とらえた」と考えられた光の点が観測されたことがありました。しかしその後の観測で、その点はしだいに薄れて消えていきました。現在では、それは惑星そのものではなく、天体同士の衝突で生じた塵の雲だった可能性が高いと考えられています。つまり私たちは、惑星の材料が砕け散る瞬間の名残を見ていた可能性があるのです。

惑星がある証拠を探していたら、惑星をつくる途中の衝突を目撃していたかもしれません。フォーマルハウトの円盤は、惑星形成が「衝突の積み重ね」であることを、生々しく物語っています。


今夜、一つ星の環を想像する

秋(9月から11月ごろ)の宵、南の低い空を見渡すと、まわりに明るい星のない場所に、ぽつんと白く輝く星が見つかります。それがフォーマルハウトです。ペガスス座の四角形の西側の辺を南へ延ばしていくと、たどり着きやすくなります。

肉眼では、フォーマルハウトはさびしげな一つ星に見えます。けれどその周囲には、惑星のかけらが集まった巨大な円盤が広がり、いまも小さな天体どうしが衝突を繰り返しています。私たちの太陽系も、かつてはこんな円盤から生まれました。秋の一つ星は、ひとりぼっちどころか、惑星が生まれる現場のただ中にいるのです。


まとめ

フォーマルハウトはみなみのうお座の白い一等星で、約25光年と近く、4〜5億歳という若い星です。その最大の特徴は、惑星のかけらが集まったデブリ円盤に取り巻かれていることです。

デブリ円盤は惑星づくりの残りものであり、その内側では天体どうしの衝突と合体が続いています。かつて惑星と思われた光が塵の雲だった可能性は、惑星形成が衝突の積み重ねであることを示しています。フォーマルハウトの円盤は、太陽系の若いころの姿を映す鏡です。

今夜、秋の一つ星を見つけたら、そのまわりに広がる惑星誕生の現場を想像してみてください。


参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空研究室」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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