リゲルとは?|オリオン座の「青色超巨星」が放つ光と、大質量星の一生

冬の夜空の主役、オリオン座。その左上で赤く輝くのがベテルギウス、右下で青白く輝くのがリゲルです。対角線上に置かれたこの2つの一等星は、色も、そして星としての生き方も対照的です。

リゲルの青白い光は、この星が極めて高温で、太陽をはるかに上回る質量を持つ「青色超巨星」であることを示しています。それは、大質量星だけがたどる激しい一生の、ある一場面です。

リゲルの解説図(等級、温度)

目次

リゲルとは?|オリオン座の青白い超巨星

リゲルは、オリオン座のβ星です。見かけの等級は0.13等で、全天では7番目に明るい恒星です。地球からの距離はおよそ860光年。これほど遠いのに一等星として輝くのは、この星が桁外れに明るいからです。

ただし、この距離には数十光年規模の不確かさがあり、そこから割り出す本当の明るさにも幅が出ます。その明るさは、太陽のおよそ12万倍にもなります。表面温度は約1万2000度で、太陽の2倍。この高温こそが、リゲルの青白い色の理由です。星は温度が高いほど青く見えるため、1万度を超えるリゲルは夜空で群を抜いて青白く輝きます。

リゲルは「青色超巨星」に分類されます。ここからは、この長い名前が何を意味しているのかを見ていきます。


「超巨星」とは何か|大きさではなく生き方の名前

超巨星とは、非常に大きな質量を持つ恒星が進化して到達する、高い光度を持つ段階です。多くは大きく膨らんでいますが、「超巨星」という名前は単純な大きさではなく、恒星としての進化段階を表しています。リゲルの直径は太陽の約70倍。もし太陽の位置に置けば、水星の軌道に届くほどの大きさです。

ただし、超巨星を決めているのは大きさそのものではありません。その星が「どんな生き方をしているか」です。

すべての鍵は質量にあります。リゲルの質量は太陽の約20倍。星は重いほど、中心部の温度と圧力が高くなり、核融合の燃料を猛烈な勢いで燃やします。太陽が数十億年かけて使う燃料を、リゲルのような大質量星はわずか数百万年から1000万年ほどで使い果たします。明るく輝くことと、短命であることは、大質量星では表裏一体なのです。

そしてリゲルは、中心部の水素をすでに使い果たした段階にあると考えられています。燃料の切り替わりによって外層が大きく膨張し、超巨星へと姿を変えました。それでも表面が青白いのは、質量が大きく、表面温度が高いまま膨張したためです。


この先に待つもの|超新星爆発への道

大質量星の一生は、静かには終わりません。

リゲルほど重い星は、中心部の水素を使い果たし、その後の進化段階に入ったあとも、ヘリウム、炭素、酸素へと、より重い元素の核融合を段階的に続けます。しかし核融合で作れるのは鉄まで。鉄の中心核ができると、そこではもうエネルギーを生み出せず、星は自らの重力を支えきれなくなります。

その先に待っているのが、超新星爆発です。中心核が一気につぶれ、星の外層が宇宙空間へ吹き飛ぶ大爆発。リゲルもまた、この結末に向かって進んでいる星のひとつと考えられています。同じオリオン座で赤く輝くベテルギウスも、色こそ違え、同じ大質量星の終着点へ向かう仲間です。


リゲルとベテルギウスの違い|青い超巨星と赤い超巨星

同じオリオン座には、もう一つの超巨星ベテルギウスがあります。リゲルが青いのは表面温度が約1万2000度と高いから、ベテルギウスが赤いのは表面温度が約3500度と低いからです。

どちらも太陽の何十倍という大質量星ですが、姿は対照的です。リゲルは高温を保ったまま膨張した青色超巨星、ベテルギウスは膨張して表面が冷えた赤色超巨星。同じ星座のなかで、大質量星がたどる異なる段階を並べて見比べられます。


今夜、青と赤の対角線を見上げる

冬(12月から3月ごろ)の宵、南の空にオリオン座を見つけたら、三ツ星をはさんで対角に置かれた2つの明るい星を見比べてみてください。左上の赤いベテルギウスと、右下の青白いリゲル。この色の違いは、そのまま温度の違いです。

同じ星座に並ぶ2つの超巨星が、一方は赤く、一方は青く輝く。どちらも大質量星として短く激しく生き、超新星爆発という同じ結末へ向かっています。その青い光が、太陽の12万倍の明るさで、爆発への時間を刻みながら届いていると知ると、冬の夜空の対角線が違って見えるはずです。


まとめ

リゲルはオリオン座の青色超巨星で、太陽の約20倍の質量、約12万倍の明るさ、約1万2000度の表面温度を持ちます。青白い色は高温の証であり、超巨星という姿は、大質量星が中心の水素を使い果たして膨張した進化段階を示しています。

大質量星は、明るく輝くほど速く燃料を使い、超新星爆発という激しい最期へ向かいます。リゲルは、その一生のクライマックス手前にいる星です。

今夜オリオン座を見上げたら、青と赤の対角線が、星の「重さ」と「生き方」の違いそのものだと思い出してみてください。


参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空研究室」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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