2026年11月の星空|しし座流星群と、流れ星が明け方に増える理由

11月の夜空は、明け方に見どころが集まる月です。

日の入りはさらに早まり、東京では月末に16時半より前になります。宵のうちから暗くなるぶん、夜を長く使える季節です。それでも今月、目を向けてほしいのは夜明け前の空のほうです。

18日には、しし座流星群が極大を迎えます。放射点が昇ってくるのは真夜中近くで、流星を待つのは日付が変わってから明け方にかけてになります。同じ明け方の空では、16日に火星と木星が1.2度まで近づき、21日には水星が見つけやすくなり、30日には金星が最大光度を迎えます。

流星も惑星も、明け方に集まっています。けれど、その理由はひとつではありません。流れ星が明け方に増えやすいのは、地球が宇宙空間を進んでいく向きと関係しています。一方で水星が明け方に見つけやすいのは、地平線に対する黄道の角度のためです。同じ明け方でも、効いている理由が違います。

今月の夜空は、見える時間だけでなく、「なぜその時間に見えるのか」に目を向けると、さらに面白くなります。

2026年11月の星空
Image Credit: NAOJ
目次

2026年11月の星空カレンダー

今月のスケジュールを一覧にします。

  • 11月2日: 下弦
  • 11月3日の未明: 月が火星と木星のあいだを通り、5時ごろ木星に接近
  • 11月4日: 水星が内合
  • 11月6日: おうし座南流星群が極大
  • 11月7日: 立冬 / 日の出前、細い月が金星に接近
  • 11月9日: 新月
  • 11月12日: 金星が留
  • 11月13日: 水星が留 / おうし座北流星群が極大
  • 11月14日〜18日の未明: 火星と木星が接近(16日に約1.2度)
  • 11月17日: 上弦
  • 11月18日: しし座流星群が極大
  • 11月20日〜21日: 宵の空で、月が土星のそばを通る
  • 11月21日: 水星が西方最大離角
  • 11月22日: 小雪
  • 11月24日: 満月 / 宵に、月がすばるの手前を横切る
  • 11月26日: 天王星が衝
  • 11月30日: 金星が最大光度(マイナス4.9等)
  • 11月30日〜12月1日の未明: 月が木星と火星に並ぶ

見どころの大半は、日付が変わってから夜明けまでの時間帯にあります。宵の空に残るのは、土星と、月の後半に満ちていく月です。今月は、早めに寝て明け方に起きるという組み立て方が、いちばん効率のよい観察になるでしょう。

しし座流星群|11月18日、放射点は地球の進行方向にある

見える数と時間

  • 極大: 11月18日9時ごろ(日本時間)と予想されています
  • 数: 天の川が見えるような暗い空で、1時間に5個程度
  • 見ごろ: 17日の夜から18日の明け方、18日の夜から19日の明け方

極大の予想時刻は18日の朝9時で、日本では空が明るくなったあとです。そこで狙うのは、その前後の2晩の未明になります。

放射点のあるしし座は、東京では23時ごろに東の空から昇ってきます。この時期の月は上弦を過ぎたばかりで、17日の夜は23時ごろ、18日の夜は0時ごろに沈みます。月が沈んでから、明け方の空が明るみ始める5時前までが、暗い空で流星を待てる時間です。4時ごろには放射点の高度が60度ほどまで上がり、条件が整ってきます。

1時間に5個という数は、暗い空で見たときの目安です。街明かりのある場所では、これより少なくなります。

しし座流星群のもとになっているテンペル・タットル彗星は、約33年で太陽を1周します。その回帰に近い時期には、1時間に数百から数千個という大出現が起きたことがあります。2026年は、そのような大出現が期待される時期にはあたりません。今年は、彗星が過去に残したいくつかの塵の帯との接近も予測されていますが、大きな活動の増加は予想されていません。通常の極大を中心に、数よりも流星そのものを楽しむつもりで観察するのがよいでしょう。

数を期待して何時間も粘る夜ではありません。そのかわり、この流星群には数とは別の特徴があります。速さです。

なぜ明け方に流れ星が増えるのか

流れ星は、宇宙空間にある小さな塵や粒子が地球の大気に飛び込み、光る現象です。

流星物質にはさまざまな軌道を持つものがありますが、一般に流れ星は夕方より明け方のほうが多く見られる傾向があります。理由は、地球そのものが動いていることにあります。地球は太陽のまわりを、秒速およそ30キロメートルで公転しています。

雨の中を走る車を思い浮かべてください。雨がまっすぐ降っていても、走っている車のフロントガラスには、後ろの窓よりずっと多くの雨粒が当たります。車のほうから雨の中へ突っ込んでいくからです。当たる勢いも、前のほうが強くなります。

地球も同じです。公転の進行方向を向いている側では、地球が流星物質の中へ進んでいくため、流星物質との出会いが増えます。また、地球の公転速度が相対速度に加わるため、正面から飛び込んでくる流星は速くなります。

では、地上の私たちが進行方向を向くのはいつでしょうか。

地球の上の地点で考えると、太陽の方向を向いているのが正午、その反対側を向いているのが真夜中です。公転の進行方向は、太陽の方向とほぼ直角に交わる向きにあり、それを向くのが明け方6時ごろの地点になります。夕方6時ごろの地点は、反対に公転の進行方向とは逆を向いています。

夕方の空では、地球が進んでいく方向とは反対側から来る流星物質との出会いが多くなります。一方、明け方には、地球が公転の進行方向へ向かって進んでいく側が観測地点の正面に回ってきます。

そのため、明け方は流星が現れる確率も、流星が大気に飛び込む速度も大きくなりやすいのです。流れ星が明け方に増えやすい理由は、地球が止まっていないからです。

しし座の放射点は、11月の進行方向とほぼ重なる

では、11月の地球はどちらへ向かって進んでいるのでしょうか。

太陽は空を1年かけて一周する道の上を動いて見えます。地球の進行方向は、その道の上で、太陽から90度西へ離れたあたりにあります。11月中旬、そこにある星座がしし座です。

しし座流星群の放射点は、黄道に沿って測ると、この進行方向から1度ほどしか離れていません(北へは10度ほどずれています)。しし座流星群の塵は、地球の進む先から、ほぼ正面に飛び込んできます。

こうなるのは、塵のもとのテンペル・タットル彗星が、地球とは逆向きに太陽を回っているためです。地球と流星物質が、向かい合って進みながら出会うことになります。

その結果、しし座流星群の流星は秒速およそ71キロメートルで大気に飛び込みます。地球の公転の速さと流星物質の地球に対する速度が重なるためです。主な流星群のなかでも最も速い部類に入り、10月のオリオン座流星群(秒速およそ66キロメートル)をさらに上回ります。

ここで、「流星が明け方に多い理由」と「放射点が明け方に高くなる理由」は分けて考える必要があります。

流星が明け方に多くなるのは、地球が公転の進行方向を向くためです。一方、しし座流星群の放射点が明け方に高くなるのは、地球が自転しているためです。

しし座にある放射点は、地球の自転によって東の空から昇ってきます。明け方には、その放射点が空の高いところまで上がってきます。

つまり、しし座流星群の「明け方」は、二つの地球の動きが重なって見えているのです。

公転によって流星物質との衝突条件が整い、自転によって放射点が高くなる。同じ「明け方」でも、効いている理由はひとつではありません。

おうし座流星群は、反対に遅い

同じ11月には、正反対の性格を持つ流星群も活動しています。おうし座流星群です。

  • 南群の極大: 11月6日(暗い空で1時間に2〜3個程度)
  • 北群の極大: 11月13日(暗い空で1時間に2個程度)
  • 速さ: 秒速およそ27〜29キロメートル

数はしし座流星群よりさらに少なく、目立つ流星群ではありません。そのかわり、ゆっくりと流れる流星が多く、とくに南群では火球と呼ばれる明るい流星が見られることがあります。

秒速71キロメートルと、秒速27キロメートル。同じ月の流星群で、速さが2倍半ほども違います。

おうし座南流星群の母天体は、エンケ彗星です。北群は2004 TG10という天体に関連しています。どちらも「おうし座流星群複合体」と呼ばれる、似た軌道を持つ流星物質の集まりの一部です。

しし座流星群とは違い、これらの流星物質は地球と同じ向きに太陽を回る成分が大きいため、地球との衝突速度は小さくなります。向かい合ってぶつかるのではなく、同じ方向へ走っている車に合流するような出会い方になるので、ぶつかる速さが小さくなるのです。

放射点が太陽のほぼ反対側にあるため、おうし座流星群の放射点は宵のうちに昇り、真夜中ごろに南の空で最も高くなります。明け方を待たなくても見られる流星群です。

6日は3時ごろに細い月が昇ってきますが、13日は月が宵のうちに沈むので、月明かりの影響をほとんど受けません。

速い流星は、進む先の空から明け方に。遅い流星は、太陽の反対側から一晩中。

流れ星の速さも見える時間帯も、流星物質がどの方向から地球と出会うかに大きく左右されています。

火星と木星の接近|11月16日、1.2度の隣に4倍の奥行き

しし座流星群の放射点が昇ってくるのと同じ空に、今月は明るい惑星が2つ並んでいます。

見える時間と方角

  • 時間: 11月14日から18日の2時ごろ(東京)
  • 方角: 東の空
  • 明るさ: 木星がマイナス2.1等、火星が0.7等
  • 最接近: 16日、約1.2度

2時ごろの東の空で、ひときわ明るく輝くのが木星、そのすぐそばの赤みを帯びた光が火星です。明るさはおよそ13倍違うので、取り違えることはないでしょう。近くにはしし座の1等星レグルス(1.4等)があり、3つで細長い二等辺三角形を作ります。夜明け前には2つとも南東から南の空の高いところまで昇り、さらに見やすくなります。

1.2度は、満月の見かけの直径(約0.5度)の2倍あまりです。腕をいっぱいに伸ばしたときの小指の幅が約1度ですから、小指1本ぶんと少しの隙間に、太陽系で4番目と5番目の惑星が収まります。

並んで見えても、距離は4倍違う

16日の2時、地球から火星までの距離は約2億キロメートル、木星までは約7.9億キロメートルです。2つはすぐ隣にあるように見えますが、奥行きは4倍ほど違います。

光の速さで言い換えると、届いている火星の光は約11分前に、木星の光は約44分前に出発したものです。並んだ2つの光は、出発した時刻が30分以上ずれています。

見かけの接近とは、地球から見た方向がそろったということです。2つの惑星が宇宙空間で近づいているわけではありません。夜空は奥行きのない天井のように見えますが、実際には距離のばらばらなものが、方向だけで重ねて映し出されています。

17日を境に、昇る順番が入れ替わる

11月上旬は、火星のほうが木星より先に東の空から昇ってきます。それが17日を境に逆転し、木星が先に昇るようになります。

理由は、2つの惑星が星座のあいだを東へ進む速さの違いです。どちらも今月は順行していますが、地球に近く、公転も速い火星のほうが、星座のあいだを速く東へ移っていきます。

同じくらいの高さを通る天体なら、星座のなかで東にあるものほど遅れて昇ります。木星の西側にいた火星は、木星を追い越して東側へ抜けていきます。そのため、昇る順番も入れ替わるのです。16日の最接近は、火星が木星を追い越していく途中の一場面にあたります。

3日と30日、月が2つのそばを通る

  • 3日の未明: 1時ごろ、月が火星と木星のほぼ中間に入ります。5時ごろには、月と木星の間隔が約1.3度まで縮まります(東京・南東の空の高いところ)
  • 11月30日〜12月1日の未明: 5時ごろ、月が木星と火星に並びます(東京・南東の空)

3日の月は下弦を過ぎたばかりの月、30日の月は満月から6日ほど過ぎた月です。月は星座のあいだを1日におよそ13度ずつ東へ動き、27日ほどで星座をひと回りします。月の初めに2つの惑星のそばにいた月が、月の終わりに同じ場所へ戻ってくる様子を、今月は両端で確かめられます。

水星の西方最大離角|11月21日、10月より離れていないのに高い

見える時間と方角

  • 見やすい期間: 11月15日から29日(東京で、日の出30分前の高度が10度を超える期間)
  • 時間: 日の出の30分前ごろ
  • 方角: 東から南東の低空
  • 明るさ: 0.1等からマイナス0.7等

目印は金星です。水星より空の高い位置で、ひときわ明るく輝いています。そこから地平線寄りの低空に目を移していくと、水星が見つかります。薄明のなかでは見つけにくいので、双眼鏡があると探しやすくなります。空が明るくなってきたら、日の出の前に観察を終えてください。

先月のはしごが、立った

10月12日、水星は東方最大離角を迎えていました。太陽から最も離れる日なのに、観察は難しい。先月の記事では、その理由を壁に立てかけたはしごにたとえました。はしごの長さが太陽からの離角で、立てかけた角度が、地平線に対する黄道の傾きです。

今月は、その答え合わせができます。東京で計算すると、次のようになります。

10月12日(東方最大離角)11月21日(西方最大離角)
見る時刻日の入り30分後日の出30分前
太陽からの離角約25度約20度
水星の高度約5度約13度

はしごは短くなったのに、先端は2倍以上高いところに届いています。

離角が小さくなったのは、水星の軌道がつぶれた楕円で、最大離角の大きさが回ごとに変わるためです。それでも高度は上がりました。効いているのは、立てかけた角度のほうです。

日の入りの西の空では、黄道は秋に最も寝ます。日の出の東の空では、それが逆になり、秋に最も立ちます。10月の夕方の水星は寝かせたはしごの先にいて、11月の明け方の水星は立てたはしごの先にいる、というわけです。季節と時刻が変われば、同じ水星でも、見つけやすさがここまで変わります。

金星の最大光度|11月30日、9月の鏡写し

見える時間と方角

  • 時間: 日の出前
  • 方角: 南東の空
  • 明るさ: マイナス4.2等(1日)からマイナス4.9等(30日)

10月24日に内合を迎えた金星は、太陽の西側へ抜けて、明け方の空に移りました。明けの明星です。月の初めはまだ低いものの、日ごとに高度を上げ、月末には日の出30分前に高さ30度ほどまで昇ります(東京)。

7日の日の出1時間前には、東の低空で細い月が金星に近づきます。月も金星も、どちらも細く欠けた姿です。金星の形は肉眼ではわかりませんが、望遠鏡で見ると、月と同じように細い形をしています。

12日には金星が留を迎え、逆行から順行に戻ります。

内合をはさんで、同じ形・同じ距離

9月19日、金星は夕方の西の空で最大光度を迎えていました。そして11月30日、今度は明け方の東の空で、ふたたび最大光度になります。

2つの日の金星を並べてみます。

9月19日11月30日
見える空夕方の西明け方の東
太陽からの離角約39度(東側)約40度(西側)
照らされた面の割合約4分の1約4分の1
地球からの距離約6300万キロメートル約6300万キロメートル
明るさマイナス4.8等マイナス4.9等

夕方か明け方か、太陽の東側か西側かが入れ替わっただけで、金星の形も距離もほとんど同じです。9月19日から10月24日の内合までが35日、内合から11月30日までが37日。金星は内合をはさんで、ほぼ左右対称の道筋をたどっています。

金星の明るさは、近づくほど大きく見えることと、近づくほど細く欠けることの綱引きで決まります。その勝ち負けを決めているのは、太陽と地球と金星の位置関係です。位置関係が内合の前後でほぼ対称なら、最大光度も内合の前後に、ほぼ対称に現れます。9月の最大光度が近づいていく途中の頂点だったとすれば、11月の最大光度は、離れていく途中の頂点にあたります。

宵の空|土星と、天王星の衝

明け方に見どころが集まる11月ですが、宵の空にも惑星がいます。

土星|20日と21日、月がそばを通る

  • 時間: 宵
  • 方角: 南東の空
  • 明るさ: 0.5等から0.6等

10月4日に衝を迎えた土星は、今月もくじら座の領域を西へ動いています(逆行)。日の入りのころにはすでに南東の空に昇っていて、宵のうちに見つけられます。

20日と21日の18時ごろ(東京)には、満月に近い月が土星のそばを通っていきます。月明かりで土星が見つけにくいときは、手で月を隠してから探すと見つけやすくなります。

24日、満月直前の月がすばるの手前を横切る

24日の宵、満月直前の月が、おうし座のすばる(プレアデス星団)の手前を横切っていきます。東京で計算すると、18時半ごろから19時台にかけて、すばるの星のいくつかが順に月の縁に隠れていきます。時刻は見る場所によって変わります。

ただし、満月直前の月はとても明るく、そのすぐそばにある3等星から4等星のすばるの星は、肉眼では見分けにくくなるでしょう。

天王星の衝|11月26日、肉眼の限界に乗る惑星

26日、天王星が衝を迎えます。そのすばるから5度ほど離れた、おうし座の領域にあり、明るさは5.6等ほどです。

9月に衝を迎えた海王星は7.8等で、肉眼で見える限界(およそ6等)を下回りました。天王星の5.6等は、明るさだけを見れば肉眼で見える範囲に入ります。

街明かりのない暗い空で、位置を正確に知っていれば、肉眼で見つけられる可能性があります。ただし、5.6等という明るさは肉眼で簡単に見つけられるほど明るいわけではありません。

今年の衝は条件もよくありません。24日が満月で、その前後に月が天王星のすぐ近くを通っていきます。26日の夜も、ほぼまん丸の月が天王星から15度ほどのところで明るく輝いています。5.6等の光は、月明かりに埋もれてしまうでしょう。

天王星を狙うなら、月明かりが弱まる12月の前半に、双眼鏡と星図を用意して、すばるを手がかりに探すほうが現実的です。

条件がそろえば肉眼でも届く明るさですが、実際の観察では「肉眼で見えるか」より、「双眼鏡で探してみる」くらいに考えておくほうがよいでしょう。

11月の観測に用意しておきたいもの

11月の観察は、明け方が中心になります。しし座流星群は日付が変わってから夜明けまで、火星と木星は2時ごろから夜明け前まで、水星と金星は日の出の直前です。1日のうちでいちばん冷え込む時間帯に、いちばん長く外にいることになる月です。

防寒具

秋冬はこれが持ち物の筆頭になります。

観察が途中で終わる理由は、飽きよりも寒さであることのほうが多いものです。上着だけでなく、足元と手先、首もとまで用意してください。地面やベランダの床は座り続けるだけで体温を奪うので、敷くものと合わせて考えると効きます。

リクライニングできるアウトドアチェア、または折りたためる断熱シート

しし座流星群を待つ未明、放射点は高度60度ほどまで昇ります。

空の高いところを中心に広い範囲を見渡し続けるなら、寝転がるか、背もたれを倒して座る姿勢が楽です。そして晴れて冷え込んだ夜は、地面が夜露で湿っていることがあります(郊外や山あいでは霜が降りることもあります)。湿った地面に直接座ると、服を通して体から熱が奪われやすくなります。地面と体のあいだに一枚あるかどうかで、粘れる時間が変わります。

使っているもの

私が使っているのは、畳めば小さくなる断熱シートです。アルミの面で地面と体のあいだを断つつくりで、夏はコンクリートに残った熱が伝わりにくいのが助かりました。オールシーズン向けなので、冷えていく地面にも同じ一枚を出せます。

双眼鏡

流星を見るだけなら、双眼鏡は要りません。

いつどこに流れるかわからない光に対しては、視野の広い肉眼のほうが強いからです。ただし今月は、双眼鏡が効く対象が別に2つあります。

ひとつは、16日前後の火星と木星です。1.2度という間隔は、双眼鏡の視野(5度から7度ほど)のなかに余裕で収まります。視野の広い機種なら、近くのレグルスまで含めた三角形を、ひとつの円のなかに入れられるでしょう。赤みを帯びた火星と明るい木星の色の違いも、並べて見ると比べやすくなります。

もうひとつは、24日の宵の月とすばるです。満月直前の月のそばでは、すばるの星は肉眼で見分けにくくなります。双眼鏡なら月の縁の近くの星を拾いやすく、星がひとつずつ月の陰に入っていく様子を追えるかもしれません。

手持ちの双眼鏡がどれくらいの範囲を一度に見られるかは、機種によって違います。倍率が高いほど視野は狭くなる傾向があり、そのかわり像は大きくなります。倍率と口径をどう選ぶかは、初めての双眼鏡を選ぶときの考え方にまとめました。

安全のために

水星や金星を双眼鏡で探すのは、日の出前の時間帯です。太陽が地平線の下にあることを確かめてから双眼鏡を向け、空が明るくなってきたら、日の出の前に観察を終えてください。誤って太陽を視野に入れると、重い眼の損傷につながります。

赤色ライト

白いライトを一度使うと、せっかく暗さに慣らした目がそこで元に戻ってしまいます。

足元や星図を確かめるたびに、それが起きます。赤い光は暗順応を壊しにくい性質があり、観察を中断せずに手元だけを照らせます。しくみは赤い光が暗順応を壊しにくい理由で解説しています。

使っているもの

私が選んだのは、赤色でしか点灯しないタイプでした。白色との切り替えがないぶん、暗闇で手探りにスイッチを押しても白い光が飛び出しません。何度も手元を照らす夜ほど、この一点が効いてきます。

モバイルバッテリー

寒いところでは、スマートフォンの電池は表示より速く減ります。

リチウムイオン電池は低温で内部抵抗が上がり、取り出せる電力が落ちるためです。星図アプリで惑星の高度を確かめながら未明まで粘るなら、残量に余裕を持たせておくほうが安心でしょう。夜間の屋外で、連絡手段を残しておく意味もあります。

使っているもの

私が持ち出しているのは、容量20000mAhでUSB-Cポートが2つあるタイプです。容量に余裕があると、星図アプリを開いたままにしても残量を気にせず空を見ていられます。ポートが2つあるのも、一緒に見に行った人の端末やカメラを同時につなげるので、夜が長いほど効いてきます。

持ち物の顔ぶれは10月と同じ5点です。変わるのは、防寒具の比重のほう。手袋をしたままスマートフォンや双眼鏡を扱えるか、出かける前に一度確かめておくと、寒い中で手袋を外す回数が減ります。

見えている向きを決めているのは、地球の動きです

今月の見どころを、もう一度並べ直してみます。

しし座流星群が秒速71キロメートルで飛び込んでくるのは、地球の公転速度が流星物質との相対速度に加わるからです。おうし座流星群が遅いのは、地球と流星物質が同じ向きに太陽を回り、正面衝突にならないからです。

しし座流星群の放射点が明け方に高くなるのは、地球が自転しているからです。

水星が10月より見つけやすいのは、水星が太陽から大きく離れたからではありません。明け方の東の空で、黄道が立っているからです。

金星が9月と同じ姿に戻るのは、内合をはさんで、地球・金星・太陽の位置関係がほぼ折り返すからです。

夜空は、止まった地面から眺めている景色ではありません。秒速30キロメートルで公転し、1日に1回自転している地球の上から見た景色です。

見る時間と方角が変われば、流星の数も、惑星の高さも変わっていきます。

16日の未明、東の空に火星と木星とレグルスの細い三角形を見つけたら、その先に広がる暗い空を見てください。

星々が静かに並んで見えるその空を、私たちはいま、秒速30キロメートルで進んでいます。

参考文献

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この記事を書いた人

「深夜の星空研究室」管理人。 三度の飯より星とミルクティーが好き。飯もちゃんと好き。

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